ごはん相談室
避妊・去勢後に太ってきた犬のごはん量の見直し方
避妊・去勢後は代謝が落ちやすいと言われています。手術前と同じ量のままになっていないか、見直し方を整理します。
今日からできることを、一緒に見つけていこう。
避妊・去勢手術のあと、しばらくして体重が増えてきたという相談はよくあります。「手術をするとそういうものだから」と諦めてしまう前に、ごはんの量や与え方の面で見直せる部分があります。
手術後は代謝が落ちやすいと一般的に言われています
避妊・去勢手術によってホルモンバランスが変化し、手術前と比べて基礎代謝が下がりやすくなることは、獣医療の現場でも一般的に言われている傾向です。目安として2〜3割ほど必要カロリーが減るという考え方が広く紹介されていますが、これはあくまで一般的な目安であり、個体差があることも踏まえておく必要があります。
「手術前と同じ量」のままになっていないでしょうか
体格そのものは手術前後で大きく変わらないため、ごはんの量も無意識のうちに同じまま続けてしまいがちです。体重の変化は日々の食事量の差が積み重なって数週間〜数か月かけて表れてくるため、気づいた時にはすでにある程度増えてしまっていることも珍しくありません。
食欲そのものが増えることもあります
避妊・去勢後は代謝が落ちる一方で、ホルモンの変化により食べ物への関心や食欲が増す子もいると言われています。必要カロリーが減っているにもかかわらず、以前より欲しがる様子を見せることもあり、この「代謝は下がるのに食欲は上がる」というズレが、体重増加をより起こりやすくしている面があります。おねだりに応じ続けるかどうかは、量の計算だけでなく接し方の問題としても意識しておきたい点です。
見直すときの考え方
見直しの基準にするのは手術前の体重ではなく、現在の体型(BCS)や獣医師と相談した目標体重です。まずは現在のごはんの量を正確に量るところから始め、数週間ごとに体重を記録しながら少しずつ調整していく方法が現実的です。急激に減らすのではなく、体重の変化を見ながら段階的に合わせ込んでいく形になります。
参考にしている情報源
避妊・去勢後の代謝量の変化については、以下の研究を確認して整理しています。研究によって減少幅の報告に差があるため、「2〜3割」という数字を絶対値として捉えないよう、あわせて記載しています。
- WSAVA Global Nutrition Committee「WSAVA Nutritional Assessment Guidelines」(2011年、Freeman他、Journal of Small Animal Practice誌/ボディコンディションスコア(BCS)による体型評価の基礎となる文書で、避妊・去勢後に特化した内容ではありません)
- Jeusette他「Ad libitum feeding following ovariectomy in female Beagle dogs: effect on maintenance energy requirement and on blood metabolites」(2004年、Journal of Animal Physiology and Animal Nutrition誌/ビーグル犬を対象にした小規模な研究で、避妊手術後に1日あたりの必要エネルギー量が有意に減少したことを報告しています)
- Phungviwatnikul他「Effects of diet on body weight, body composition, metabolic status, and physical activity levels of adult female dogs after spay surgery」(2020年、Journal of Animal Science誌/避妊後12週間の維持エネルギー要求量の減少幅は約5%にとどまったと報告しており、一般に紹介される「2〜3割」という数字よりも小さく、個体差や研究デザインによって報告される減少幅に幅があることを示しています)
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急に食べない・ぐったりしている・症状が続く・体重が大きく変わっているなど気になる場合は、フード変更より先に主治医へ相談してください。